ファットウッドって一体なに?見つけ方から自作方法まで徹底解説!
ファイヤースターターで火を起こす上級者の手慣れた様子…。上級キャンパーがよく用いる「ファットウッド」に関心を示すビギナーは多いはず。が、実は難しく感じる必要はありません。ここでは、意外と簡単な「ファットウッド」についてご紹介してみます。
ファットウッドとは
自然の着火剤とも言われている「ファットウッド」。アブラを多く含んだ松脂(マツヤニ)のことで、枯れたアカマツから採取できます。松脂の主成分を構成するうちロジン、とりわけテレビン油は揮発性が高く、着火しやすく燃えやすい性質をもつのが特長。艷やかな濃い琥珀色かつ松脂独特の香りは、いかにも燃えやすそう。
最近はあらかじめ「ファットウッド」だけを集めた市販品もあり、店先で見かけた経験をもつ方も多いに違いありません。
ファットウッドの2つの魅力
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保存して火付けの事前準備ができる
「ファットウッド」とは直訳すると“太った木”。樹脂が多く含まれる分だけ燃えやすく、かの古代エジプトのミイラづくりにも使用されていました。
つまりは腐りにくく、抜群の長期保存性を誇りつつ、火起こし際するにも簡単に燃え上がってくれるのです。
濡れていても燃焼可能&長時間燃焼
天然ワックスとしても使用される「ファットウッド」は水分を弾く性質があり、濡れていても燃え続けます。
また、着火だけでなく長期間に渡って燃え続けるので、煮炊きを行う際にも重宝します。ですが、現実的には着火剤としてのみ使用される方がほとんどのようですね。
見つけ方
立ち枯れした木を探す
木立で、立ち枯れした松の木を見かけることがあります。ハイキングやツーリング、ドライブが好きならば、山間いの駐車スペースや休憩ポイント周辺を探れば見つかる可能性があります。
倒木から探す
キャンプ地近くの松林を散策してみれば、立ち枯れた松が「ファットウッド」化している可能性があります。松独特の匂いが濃くなってきた場所に、そんな「ファットウッド」化した間伐後の松が見つかるケースが多く、匂いを手掛かりに探してみるのもいいでしょう。
ポイント① ナイフで叩いてみる
立ち枯れした松、倒された松の中に「ファッドウッド」があるかどうか。
確認するには中身が美味しいスイカを見つけるがのごとく、叩いてみるのが一番です。
ナイフで叩いてみて、甲高い音がしたらお宝が堆積している可能性が高いです。
ポイント② ノコギリで切ってみる
松脂は重いので木の下の方、枝の付け根に堆積している場合がほとんどです。
下方を思い切りよく切り出してみて、アメ色の半透明な樹液のカタマリが確認できれば、それが「ファットウッド」です。
ポイント③ 水に浮かべてみる
立ち枯れした松から落ちた枝にも「ファッドウッド」が蓄積している場合があり、その際は水に浮かべてみると良いでしょう。
中身がカラなら枯れ枝は水面に浮き、「ファッドウッド」化して重たい枯れ枝は沈みます。近くに川が流れていれば簡単に判別できますね。
【注意点】探し場所に気を付ける
「ファットウッド」収集に熱中するあまり、私有地に知らず“不法侵入”してしまうキャンパーが後を絶ちません。
気持ちの良いアウトドアライフを過ごすには自然のマナーと法律をきちんと守ることが必要です。無断で私有地に立ち入るのはご法度!
採集方法
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削りだし
自然の着火剤「ファットウッド」化した部分を切り出したら、次は肝心カナメのお宝部分のみの削り出し。必要のない樹皮と部位を丁寧かつ丹念に切り取っていきましょう。
【注意点】 刃物の扱いに用心
削り出す際に必要なのはナイフや小刀。刃物ゆえに取り扱いには慎重さが求められます。防刃性の高いグローブはもちろん、時には長い刃渡りをもつナイフで鉛筆の芯を削る要領で進めていきましょう。
コツは薄く長く。ナイフの背に親指を置き、まずは撫でるように。ひっかかりを感じたらそこを削ぐような感じでしょうか。
硬い分だけ手慣れたヒトでも多少なり時間は掛かりますが、この作業を好むヒトは意外と多いものです。
使用方法
焚き付けの仕方
着火剤、焚き付けるために使用するだけならば、さほど多くの「ファットウッド」は必要ありません。
出来るだけ薄く削り、子供のコブシくらいのカタマリになればOK。後はファイヤースターターやチャッカマン、ターボライターなどで着火するだけ!
【注意点①】 火柱に注意
ただし、相手は燃えやすい松脂のカタマリです。びっくりするくらいの火柱が立ちますのでご注意ください。
顔や帽子位置次第ではヤケドしかねません。着火する前に距離や上方の確認を抜かりなく。
【注意点② 】すすが出る
松脂の特長としてススが出ることが挙げられます。焚き火で松の木を入れた煙でむせた経験をお持ちな方も居るはず。
煮炊きに長時間使用した場合は、鍋底が黒く煤けて後々の手入れに難儀が生じます。
《+α》2つの自作方法と代用物
割り箸とロウソクでつくる
「ファットウッド」の魅力を駆け足で紹介してきてましたが、事前に採集する手間や所有地への“無断侵入”扱いなど、煩わしさを覚えた方も居るはずです。
そんな場合には自然を活用するのではなく、自作も一考の価値あり。
例えば、割り箸に溶かしたロウを染み込ませる方法。小鍋内にロウソクなどを入れて、弱火でゆっくりと溶かしつつ折った割り箸を沈め、吹きこぼさないようじっくりと煮込めば完成!
麻ひもとロウソクでつくる
麻ひもなども天然素材ゆえによく燃えますよね。それを割り箸と同じように、溶かしたロウソクを染み込ませて即席の着火剤にしてしまわけですね。
もちろん綿製品でも良く、なかには女性のお化粧用コットンを用いて、ワセリンやリップクリームを塗布して長時間燃焼させている上級者もいらっしゃいます。
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松ぼっくりや杉の葉、他の自然物で代用
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大抵のキャンプ地周辺に落ちている杉の葉を着火剤として使用することが可能です。
よく乾燥した杉の葉を見つけることができれば、火起こしはほぼ成功したようなもの。ただし、燃焼時間は少ないのでご注意を。
また、松ぼっくりを使用することもできますが、あの燃焼時の破裂音や飛び出しを考えると、少し敬遠したいですよね。
まとめ
本格派ブッシュクラフト好きや上級キャンパーから愛される自然の着火剤「ファットウッド」。
お気に入りの専用の箱に入れて持ち歩いている様は、いかにも格好良く、フェザースティックづくりと並んで屋内外問わず自然と対話している感覚になれること請け合いな大人の小道具と言えましょう。
キャンプの醍醐味は火を起こすこと、といっても過言ではありません。ぜひ「ファットウッド」をあなたのキャンプライフに加えてみませんか?